現代の土蔵 低燃費住宅
“断熱”
この言葉を聞いて多くの方は“暖かさ”を思い浮かべるのではないでしょうか?
実は、“断熱”をしっかりして、ちょっとした工夫をすると暖かさと同じくらい涼しさにも役立つのです。
そのちょっとした工夫というのが低燃費住宅の“キモ”であり、忘れかけた古き良き日本人の知恵なのです。
イメージしてみてください。
昔、大きなお屋敷には必ず立派な蔵がありました。
真っ白い漆喰をまとったドッシリとした土蔵です。
その中には、その家の大切な絵巻物や着物、食糧などが大切に保管されていました。
なぜ、土蔵に大切なものを保管していたのでしょうか?
なぜ、身近な家の中ではなく土蔵にしまっていたのでしょうか?
答えは簡単です。
家よりも土蔵に保管する方が虫に食われたり、カビたり、腐ったりしなかったからです。
また、火災からも守ってくれるからです。
たくさんの土と植物の繊維で作られた分厚い土蔵の壁は、外からの熱を伝えない断熱材となり、蓄熱蓄冷効果を持った蓄熱体となり、室内の湿気を吸ったり吐いたりしてくれる調湿作用を兼ね備えた最強の断熱材なのです。
また、当たり前ですが土は燃えません。
その燃えない土で作られたおうちも当然燃えません。
土蔵ってすごいでしょ!
しかし、残念ながら今ではこの快適な土蔵を作れる職人さんがほとんど見つかりません。
また、資材も調達が難しく、手間や工期もかかるため現実には土蔵のおうちを作ることは難しいのです。
しかし、低燃費住宅はあきらめません。
土蔵のように快適で、強いおうちをどうにか作れないか?と考えたのです。
そして、行きついたのが今の低燃費住宅の住まいづくりなのです。
調湿してくれる断熱材を使って、燃えない“石”の断熱材を使って、約21cmの分厚い壁ができたのです。
低燃費住宅の住まいづくりには多くのこだわりがあります。
“断熱”はその中でも大切なこだわりの1つです。
しかし、ただ“断熱”を充実すれば快適になるかと言えば NO! です。
断熱効果を高めれば、当然ながらそれを生かす工夫が必要です。
“一長一短”何事も長所と短所をしっかり理解したうえで活用することが重要だと思います。